richard wagner homepage

 続クナッパーツブッシュのこと 
back to essay index
back to home


前項、「クナについての疑問」にK.Oさんから答えを頂ました。
なぜクナは1953年のバイロイト音楽祭に出演しなかったのか?
この素朴な疑問に、K.Oさんがその真相を伝える資料を、メールで送って下さいました。以下にそのメールを転載します。

クナは、1953年4月13日ナポリで、ヴィーラントにあてて手紙を書いた。1953年の二つの『リング』チクルスと『パルジファル』の指揮をクナはすでに承諾していたのだが、これを取り消すというのだった。『リング』の仕事はますます伝統から離れていくばかりだし、『パルジファル』の舞台解釈はあいかわらず理解できない、というような理由だったことは明らかだ。兄は彼を説得し、再び指揮者として呼び戻そうと努めたが、1953年5月1日に彼が受け取ったのは次のような電報だった。

「親愛なるヴィーランドよ、私としては、別れは一時的なものに留まってほしいし、厳しく受けとめないでほしいと思っている。私が去ることを承認してくれるよう、切にお願いする。リヒャルト・ヴァーグナーの精神が祝祭劇場に戻ってきた暁には、私は真っ先に戻ってくるでしょう」
(Wagner, Wolfgang,"Lebens-Akte", S.193)

なお、クナのフル・ネームは HANS ALFRED KNAPPERTSBUSCH であることもお教え頂きました。アルフレート!!

K.Oさん、ありがとうございました。
 
前項「クナを最初に聴くなら・・・」に重大な欠落がありました
歳を取ると人間ボケてくるもんだと、こんなHP作る作業をしていると、しみじみと思い知らされます・・・(^^;;
クナのワーグナーを語るに落とせない重要録音を、そっくり忘れていたまま、HPをアップして、今の今まで気づかなかったなんて・・・。

1.ワーグナー管弦楽曲集 1 /日本MCAビクター MVCW-18001
2.ワーグナー管弦楽曲集 2 /日本MCAビクター MVCW-18002

なんで、この私が最初に聴いたクナのワーグナーを忘れていたのか、ほとほと情け無いのですが、遅ればせながら紹介させて頂きます。これらはウェストミンスターという今は無きレコード会社が制作したものでした。ウェストミンスターというレーベルは、その後、何度もいくつもの会社に売却され、やがて、マスター・テープの居場所もわからないという状態になっていたのを、MCAビクターが本格的な調査を行い、ついにマスター・テープを発見し、丹念なリマスタリング作業を施し、発売されたのが上記のCDです。CDでの復刻再発売の作業としては、DECCAのクラシカル・サウンド、CBSのHERITAGEなどと並んで、理想的な、模範的な仕事として、その成果を讃えたいと思います。ライナー・ノートも良くできています。
ただし、ウェストミンスター初版LPに勝る音質というのは、ちょっと・・・・(^^;;

DECCAを離れた(逃げ出したのか、追い出されたのか?)クナのその後のスタジオ録音が、ウェストミンスター制作の4タイトルのみであったこと、また、クナ唯一のスタジオでのオペラ全曲録音が「フィデリオ」だったことなど、さまざまに感慨深い録音です。
前項「それから、クナの演奏をもっと聴くなら・・・」にも重大な欠落がありました
 L’ART DE HANS KNAPPERTSBUSCH /TAHRA TAH132〜5

クナの没後30年を記念して発売されたクナ・アンソロジーで、ワーグナーの管弦楽曲集の他に、ブルックナーの第3交響曲「ワーグナー」、ベートーヴェンの第8交響曲と第5ピアノ協奏曲「皇帝」が収められています。すべてハンブルグの北ドイツ放送局での制作で、放送局の協力を得て制作されたこのCDは正規盤です。
このなかで、若きクリスタ・ルートヴィッヒにブリュンヒルデを歌わせた「ブリュンヒルデの自己犠牲」が、これが、もう、どうしようも無いほど凄まじいのです。クナに興味、関心を持ち始めたなら、ぜひとも聞いていただきたい名演です。